それにしてもわが部の部室は狭い。


部屋としてはそこまで狭くはないものの、荷物が多いために殆ど倉庫状態である。
考えてみれば自分の部屋と同じくらい狭いんじゃないか。部室はみんなで使うのにあの狭さはないだろう。
他の学校の部室もそんな感じなのであろうか
などと思いながら家に帰っているのは、最近自分の行いを悔い改め楽器は毎日吹こうと決意したばかりのはーであった。


この男、なんと昨日の決意のそばから、なんだかんだ夜寝るのが遅くなり結局今日の午前中を無駄にしてしまうようなだらしない生活をしてしまい今更楽器を吹きに行こうとしているのである。
そういった成り行きで夜九時になってからやっと楽器を吹きに行くことにして、部室へと向かったのだがそう上手くはいかなかった。


はーが部室に着くと部室の電気は既に付いていた。人がいないだろうと踏んでいたはーは少々面食らったが、簡単に帰るわけにも行かないと窓から中をのぞいてみることに。
そこでは見たこともない人がチューバを吹いていたのである。
はーが部室で楽器を吹くのをあきらめたのは、何も人見知りのせいだけではない。やはり部室が狭かったのである。
あんなに狭い部室でチューバを吹かれてしまえば、それでもうほぼお終いである。しかも奥の方に楽器は吹いていないがなにやら二人ほど人が喋っている様子だ。
「これでは無理か」
そう心の中でつぶやき、中の人には声をかけずにその場をあとにした。


しかし、今日のはーはこれでは終わらなかった。
11時ごろになって再び部室に赴いたのである。そのころには既に人は居らず、部室には存分に楽器を吹ける広さがあった。
嬉々としてはーは気が済むまで楽器を吹いた後に帰宅した。


帰り道では、その日の日記のねたは部室が狭いという話にしよう、でもやっぱり一人で使う分にはあの狭さでも問題ないな。となかなか上機嫌であった。
そして、帰宅して玄関で靴を脱ぎ部屋に向かったとき ごとん という音がした。
見るとラーメンのドンブリが転がっていた。しかも、スープをぶちまけていた。


「やっちまったよーー」


と、珍しく独り言を言いながら拭くものをとりにいき、床を拭くのであった。





…やっぱ狭い部屋はダメっすよね。
別に大して散らかってるわけじゃないですよ。最近はむしろキレイです。
普通に暮らしてるだけでどこかに手足頭をぶつけるような部屋に住んでいるのですよ。ちょっと引っ越したいかもなー。